|  ニュース和歌山月例写真コンテスト掲載 有野永霧(大阪芸大教授)選
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1996 5月
 奨励賞


「西日の頃」

 評:ビニール畑の造形を逆光で美しくとらえている。三脚を使っているのか、この作者の写真のピントは実によい。それにプリント仕上げの技術もすばらしい。あとは内容のグレードアップを期待したい。

1996 9月
 奨励賞


「親子」

 評:フィルム現像が悪いのか、焼付けでそうしているのか。どちらにしてもプリントが美しいとは言えない。ところが、その不完全さが逆に、この写真に乱れた魅力を生み出している。タイトルの親子は伝わってこない。

1996 11月
 三席


「サーファー」

 評:夕方までサーフィンで遊び、やっとあきらめて家路につこうとしている若者。満足感ともう少し続けたいという両方の気持ちが伝わってくる作品である。潮の引いた後の水たまりが効いている。

1997 1月
 一席


「行」

 評:滝に打たれ、一心に行に打ち込む人間の姿が尋常でなく、それがまた人間の尊厳を感じさせる。岩の質感描写がするどいことでこの三人の心の厳しさが、鎖にぶら下がった二人からは心の弱さとの葛藤が読みとれる。

1997 3月
 二席


「見上げる」

 評:やわらかい斜光の太陽をふくんだ網にじゃれるようにたわむれる猫が美しく写し出されている。光の使い方や構成の仕方が実にうまく、モノクロのプリント仕上げもよい。しっかりした技術に裏打ちされた作品である。

1997 4月
 二席


「雨の日曜日」

 評:新緑の休日に子供連れでやって来たのに、雨。カメラを引いて、家族を小さく取り入れているので、思いっきり楽しめない寂しさが画面からにじみ出ている。子どものレインコートの漫画がきいている。

1997 5月
 一席


「海辺」

 評:この作者はふつうの撮り方より一歩も二歩もカメラ位置を引いて、うまく空気感や雰囲気を出す独特の感性をもった人である。しっかりした構成力と、瞬間を把握する集中力を生かしているからこその作品である。

 
1997 6月
 二席


「少女」

 評:この作者はレンズワークが非常にうまい。先月は広角レンズで、今月は望遠レンズで上位をものにしている。サンダルを持った少女の姿態が、バックの白波に浮いて詩情がある。プリント焼きで顔の表情を黒くつぶしたのが残念。ネガにあるのに。

1997 7月
 二席


「雛流し」

 評:和歌山の撮影スポットベスト10に入れてよい加太・淡島神社の雛流しであろう。人形に正面から、広角で近づき、ローアングルから撮影しているので、力強い写真になっている。波が顔のうしろでくだける瞬間に写したのが効いている。

1997 9月
 二席


「ひととき」

 評:日陰で、若い女性が馬引きのお父さん(?)となにごとか話をしているシーンを、実によいアングルからとらえている。馬の背中のカットの仕方は、百戦練磨の撮影者の技である。みなさんも大いに学んで下さい。

1997 10月
 二席


「バスストップ」

 評:バス停車場ものある堤防の土手。バスを待つ人、犬と散歩する人が映画か舞台の一シーンであるかのように味わい深く写されている。必要なものを小さくあつかった作者のセンスを高く買います。空の表現を上げてほしい。

1997 11月
 三席


「練習」

 評:演奏発表の日。出演前におさらいをしているのであろう。真剣な少女の姿態が可愛く、また壁に写った木の陰が出演前の不安感を表している。やや白くプリントしているのも心理描写にプラスとなっている。

1997 12月
 二席


「海岸にて」

 評:海岸横の壁に、海に遊びに行く人の脚と水中メガネ、工場の煙突二本が描かれている。この絵がこの海岸の様子を描いているようで、大阪湾のような汚れた海に対する作者の感慨が感じられる。手ブレにご注意。

1998 1月
 奨励賞


「つかむ」

 評:石で組まれた壁に、木の根が張っている。人工的なものの中に存在を固守する生物のありように心ひかれる人は多い。人生経験の豊富な大人ほど深く感じるであろう。イメージの層の厚い大人の作品である。

1998 2月
 三席


 「ポートレート」

 評:ウィンドーに穴があいている廃車内から、外にいる猫を記念写真風に撮ったアイデアがきいている。川原にいる野良猫なのにどこか上品で、表情も「なにしているの?」と問いたげに親しみがあり、心の通った秀作である。

1998 4月
 奨励賞


「求愛」

 評:廃屋の片隅で語り合う(?)二匹の野良猫。この作者は、顔を見つめ合ったタイミングで撮ることで、求愛しているように感じさせているあたり、ユーモアのセンスの持ち主だ。高度な技術で明るい日差しをうまく効かせている。

 1998 7月
 二席


「五月の風」

 評:川に渡された鯉のぼりの列が作る風景は、なじになったといえ、いつ見ても楽しい気持ちにさせてくれる。車のガラスに映った虚像の鯉のぼりと現実の鯉のぼりとをうまく取り入れて、厚みのある映像にしている。

 1998 8月
 三席


「公園」

 評:この作者はしっかりした写真の技術をマスターしている人だ。このように撮れば入選以上にいく、というものをもっている。みなさんもこの人の写真から学ぶものは多いと思う。雨上がりの夕暮れ時の感じがよく出ている。

 
   
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